【Inspire High 活動報告書No.8】
Article by:未来miku
開催日時:2020 12月6日(日)21:00〜22:30
参加者 未来miku
⦅平和ってどんなもの? 国連職員 高橋尚子さん ⦆
*ライブ配信当日は急遽、和平合意の任務のためアフリカへ出張となる。
そのため事前に国連本部のあるニューヨークで録画収録済。
(1)高橋尚子 さん プロフィール
世界平和を守る国際連合で紛争解決に取り組む。
国連に入ったきっかけは10代の頃に経験した犯罪被害。
国連で初めて最新テクノロジーを活用した紛争分析を専門に扱う新チーム「イノヴェーション・セル」に所属。専門は武力紛争分析、平和維持、和平交渉。21世紀型の戦争を解決するためにAI・科学技術・テクノロジーによる分析が必要と考えて日々仕事に取り組んでいる。
(2)年表History
13歳 通り魔にあい、暴力について考えるようになる
15歳 イラク戦争下の少女にシンパシーを覚える
18歳 上智大学外国語学部:ロシア語学科入学
大学時代 たくさんのアルバイトやサークル活動を通して、自分のやりたい事に出会う。
30歳 国連でスーダン事務所に入る
(3) 高橋さんへの質問
① 最新テクノロジーを活用した紛争分析を専門に扱う新チーム
「イノヴェーション・セル」とはどのような役割の部門なのだろうか?
国連の中の外務省のような役割をしているところにあたる。紛争状況や平和状況を常にモニタリングしており、武力衝突や民族対立等が起きている、または何かが起こりそうな場合にAIを使って解決策を提案する活動をしている。国民の争いを鎮めるために国の指導者にスピーチを提案したり、和平合意をするための特使を派遣することもおこなっている。
② AI等の最新テクノロジーを活用した紛争分析・解像度をあげる必要性について詳細を教えてほしい。
解像度をあげる重要性について、マイナー言語を使う少数民族の例があげられる。言葉が通じないため、国の中心的役割をになう事が出来ず、仲間はずれが続いてしまう。その際に、一人ひとりに通訳をつけるよりも、マシーンを使った自然言語分析で高速で翻訳し、同時に男性・女性でセグメントわけをすることによって、多種多様な価値観や考え方の違いを理解することが出来る。
③ 21世紀型の戦争とはどういうものか。
1945年に国連ができてから現在までで紛争の状況が大きく変化してきている。
昔は国のトップが戦争をはじめ、やめると言えば戦争は終わった。
しかしながら21世紀の戦争はそうではなくなってしまった。誰が戦争をはじめたかわからない。はじめた人たちがどこにいるかもわからない。誰と誰を和解させたらよいか、どこの戦争がいつ止まるのかわからないという難しさがある。逆に言えば国の代表が戦争の始まりや終わりを決定出来る時代ではなくなったという事になる。戦争や紛争に巻き込まれている人たちがSNSを使用したり、個人でニュース・雑誌等、情報発信することによって意見が出来るようになってきた。
④ これまでの中で一番大変だった仕事はどのようなものですか?
一番思い出深かったものでもあるが、中央アフリカ共和国で政府と武装勢力が対立し、首都から離れた村に上司と出張に行った時の仕事になる。
気温が高くタイトなスケジュールだったこともあり、自分より年上の上司の体調を心配した際の出来事である。お店も少なく食料も不足していたので、こっそりと栄養補給のためにチョコレートを食べてもらおうと上司に渡したが、上司は受け取ろうとしなかった。武装勢力の若者リーダー達とあえて同じ境遇に自分をおき、敬意を払うという強い意思からだったそうだ。その上司の行動がとても印象に残っている。
⑤ 13歳の頃、通り魔にあい、暴力について考えるようになったという経験
について教えてほしい。
8月の天気のよい昼間だった。歩いていただけであったが通り魔にあってしまった。
その際、3つの気づきがあった。
(1)犯罪はカジュアルにおきてしまうこと。今まで13年間を無傷で生きてこられたのがすごい事だと気がついた。
(2)見ず知らずの子供にさえ暴力をふるってしまうほどの人がいること、そしてその怒りや憎しみの深さに気がついた。
(3)13年間無事に過ごしてきた自分と、このような犯罪をおかしてしまった人とは何が違ったのかと考えた。1人の犯人(個人)をつかまえただけでは根本の解決にはならない。自分の友人がまた犯罪に巻き込まれるかもしれない。
また、人が恨みや憎しみ怒りを抱えたままの中で生きていく社会・しくみ・システムを失くさなければならない。そうしないと犯罪はなくならないと気づいた。
⑥ 15歳の頃、イラク戦争下の少女にシンパシーを覚たというのはどういう事か?
当時はまだイラク戦争がはじまったばかりの時期で、ニュース記者が少女に戦争についてどう思うかインタビューをしていた。その際、少女が「次の空爆はいつあるか」と記者に逆に質問をしていた。生きるためにどうしたらよいか考えている様子を見て、戦争の可否を話している状況や段階ではないということに気がついた。少女と思考回路がいっしょだったのでシンパシーを覚えた。
(4)今回のアウトプット
「仲間外れ」を探す
(1) どこで、どんな人が、仲間外れにされていますか?
(2)なぜその仲間外れが起こると思いますか?
(3)イメージ画像を添えましょう。
~ガイドの考えかた~
高橋さんが考える仲間外れとは→組織的な中での仲間はずれを考える。
【システムの外側に追いやられている人達に目をむける】
例1) 日本に住んでいるのに日本語を話せない・読めないことから
情報において仲間外れにされている
例2) ファッション誌において、色々な肌色や体型の人がいるのに、
日本人の肌質の色にあっていて細身の商品がメイン構成になっている
例3) 育児休暇を取得し、会社に戻ってきた女性が職場に戻れない。
未来mikuのアウトプット
(1)学校でアニメやイラストなどの創作が好きな人が、仲間はずれにされていると思います。
(2)私のクラス内だけかもしれませんが、アニメが好きな人と実写のドラマなどが好きな人との間に壁が生まれている気がしました。これは、その人同士の価値観や好きなものが違うからなのではないのかと思います。アニメが好きな人が仲間外れにされていると思った理由は、アニメよりもドラマなどが好きな人のほうがクラスで多かったからです。
今回のテーマについて高橋さんからのメッセージ
自分の思う「平和」とは世の中から仲間外れの恐怖をなくすことである。「仲間外れ」そもそも「仲間」とは何かというような目まぐるしい変化の時代になっている。色々な世代の人の意見や考え方を知ることが必要だと自分は思っている。そのため、ぜひ自分と情報共有をしてほしい。みんなで平和な世界を作っていきたいと思っている。
感想:
今回高橋さんのライブを聞いて、まず世界を「平和」にするにはそれぞれの国の状況や問題をなるべく知り、目を向けることが重要だと思いました。また、高橋さんの仰る「仲間外れ」は学生の私たちが経験している種類の仲間外れとは違い、さらに重い意味を持っていると気がつきました。高橋さん、ありがとうございました!
今回の記事とは別に、noteのほうに国連について調べてみた記事をアップしましたので、もしよろしければ、ご覧ください! https://note.com/miku414
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未来miku
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