top of page

【日本語版】社会はどう変えられる? デジタル大臣 オードリー・タンさん Inspire High レポート 5

※今回のセッションは【特別編】として、【英語版】【日本語版】の二つを作成しました!

英語版はこちら→


【Inspire High 活動報告書 No. 5】        

Article by:未来miku

開催日時:2020 9月21日(月)11:30〜13:00

参加者 :未来miku


⦅社会はどう変えられる? 台湾デジタル担当大臣 オードリー・タンさん


(1) 台湾デジタル担当大臣オードリー・タンさん プロフィール

コロナ対策で高く評価されている台湾。オードリーさんはマスクの在庫がわかるマスクマップや予約購入システムを開発し台湾の人々に安心をもたらす。独学でプログラミングを学ぶ一方で中学校を中退。19歳のころにシリコンバレーで起業をする。33歳でビジネスからの引退を宣言。開かれた政治を実現するため、最年少で入閣を果たす。


☆オードリーさんの考えるデジタル大臣とは

デジタル大臣≠IT大臣

デジタルは人と人の関係でITは機械どうしの関係


(2) 年表History

8歳→プログラミングを独学で学び始める

14歳→学校生活に馴染めず中学校を中退する

19歳→シリコンバレーでソフトウェア会社を起業

24歳→トランスジェンダー公表し改名

33歳→ビジネスから引退し、デジタル大臣として入閣


(3) オードリー・タンさんへの質問

① マスクマップアプリとは何ですか?

マスクのマップはg0v:ガブゼロ:零時政府(シビル・ソサエティ(英: civil society→政府、企業から自立して「社会と政府の橋渡し」をする市民組織の全体、または集合体を指す言葉。)に参加してくれた人達が作成した。パンデミックが始まった当初、台湾では限られた数のマスクしかなかった。 そのため2300万人が住んでいる国にもかかわらず、マスクは1日あたり200万枚しか作られなかった。


最初の3か月間は、医療用マスクが不足していた。そこでほぼ全国民がもっている健康保険証カードを持っていけば、薬局で1人2枚、翌週は3枚など、徐々に多くのマスクを配布するシステムを作った。何枚もらえるのかが重要ではなく、どこでもらえるのかが重要だと自分は考えた。もし少数の人にしかマスクが行き渡らなければ感染は広がってしまう。マスクマップは、行列に並ぶ代わりに、在庫がある薬局をチェックし、リアルタイムで表示するようになっている。赤ならば在庫がなく、緑だったらマスクの在庫があることを示すようにした。


②  魅力的なのは、地図を独創的に作成したチームの市民と信頼性をさらに高めた政府とのコラボレーションです。政府と人々の間のこの種の協力は台湾特有でしょうか。

日本でも台風や地震の時に官民が共同で対応する大切さはわかっていると思う。例えば、大地震のために「LINE」アプリを活用して、電気がなくてもコミュニケーションがとれるようにしておく必要性をきちんと理解している。


③ 8歳のときにプログラミングを学び始めたそうですね。

プログラミングを学び始めたきっかけは何でしたか?

大手コンピューター会社であるエイサーで働いていた親戚が何人かいた。そのため家にはプログラミングに関する本が常にあった。私はもともと数学の計算ではなく数学の概念が好きだった。数週間後、両親は私にパソコンを買ってくれた。


④  最初にプログラミングしたのは何ですか?

【print("Hello World")】と書きました。


⑤ 日本と台湾ではさまざまな交流がおこなわれています。

魅了された日本のアニメや文化はありましたか?

漫画『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』が好きでTVシリーズや映画も見た。この映画は後のSF映画「マトリックス」にも影響を与えたと言われている。


⑥ 14歳で中学校を中退することを決めたときの経験と課題は何でしたか。

最初は高校や大学に行って博士号をとらないと人工知能の研究は出来ないと思っていた。先生には10年かけて勉強しないと最先端の研究をしている教授とは仕事が出来ないとも言われた。しかし、コーネル大学が運営するARXIVというオンラインWebサイトを見つけた。そこでは、最先端の研究者の最新の論文や研究を見ることができた。もっと驚いたのは、彼らの記事について考え、送信した私のメールに返信をくれたことだ。私は研究に協力したので、研究者と一緒に働くのに10年待つ必要がないことを校長先生と話した。その後、校長先生から「学校を辞めてもいいよ」と言われ、結果として退学することにした。


⑦ 私がもし学校を中退した場合、私の立場だったら孤独を感じ、いくつかの問題を抱えたと思いますが、これらはオードリーさんには関係ありませんでしたか?

まったく問題はなかった。既に研究テーマを考えていたので、大学の授業に参加し始め、勉強を進めることに集中した。


⑧ これから実現したり、答えを出したい他のことはなにかありますか?

私にとっては、主に2つの課題がある。一つ目は「人々の立場や置かれている環境が大きく異なっていたとしても、どれだけ意見を近づけることができるか。」だ。そして二つ目は「私たちが持っている昔からの共通の価値感を守るだけではなく、新しい変化を生み出すことができるか。」である。なお、これらに関する確かな答えはなく、毎日考えなければならない。


⑨ これらの課題は台湾のデジタル大臣として、現在活動されている事と、どのように関連していますか?

一つ目の課題に関しては、何か新しい技術が出来た時、たとえば自動運転や5Gについては、経済的な発展はあるとしても環境には悪影響があるかもしれず、良い点と悪い点をいかに近づけていけるかという事である。


二つ目の課題に関しては、デジタルは技術革新を世界のどこにでも光のような速度で複製可能であるという点があげられる。台湾のマスクマップのシステムは韓国でも利用された。台湾と韓国なので言葉の壁があったが、プログラマーは同じプログラミング言語のJavaScript で対話することが出来たのである。


⑩ どうすれば世界を積極的に変えることができますか?

"Ring the bells that still can ring. Forget your perfect offering. There is a crack in everything. That’s how the lights gets in." --Leonard Cohen

(Leonard Cohenさんの曲「アンセム」からの一節。「対立=亀裂」があるところから、次の時代を示す光が差し込む、というオードリーさんの考えを象徴している。)


したがって、亀裂が見つかった場合は、何らかのアクションを実行するべきである。やがて、その亀裂は、誰もが集まり、話し合い、共通の価値観を革新できる社会的対象になる可能性がある。一人でやるのではなく、社会でみんなでやるべきだ。はじめから完璧なものは何もない。


⑪ 多くの学生とコミュニケーションをとることができましたが、どう感じましたか?

最高だった。私たちが今やるべきなのは将来の世代に、より良い世界を残すことである。直線的な経済成長を目指すのではなく、私達皆が地球環境について考え、楽しく幸せに過ごせるように行動することだ。あなたが新しいアイディアを広めることが出来れば、それはどんどん広がり、新しい世界が出来る。


⑫ 世界を変えることはできますか?

私たちは今すでに、世界を変えている。あなたがこのセッションに参加しているため、世界は変化している。新しいアイデアは社会の新しい基準になり、小さな行動は世界を変えることにつながる。



(4)アウトプットについて

変えたい社会の風景を見つける

周りを眺めたときに違和感のある風景や変えていきたい社会のワンシーンを見つけどんな風に変えたいか考えてみる。


① どんな風景ですか?

② どのように変えたいですか?

③ どうしたらその変化を実現出来ると思いますか?


*フィードバックの重要性*

フィードバックは、テクノロジーについて人々を従えるためのものではなく、人々のためになっているかを確認するために不可欠なものだ。フィードバックは社会革新の為に最も重要なことである。


*フィードバックする際のアドバイス*

自分は毎日の仕事でいつもフィードバックをしていると思う。「unmuteして、フィードバックを与えなさい。」というのが私のアドバイスである。他の人にunmuteされる場合もある。時には自分がunmuteしているのに気づかず、人に言われて気づくこともある。話すときはまず、他の人が話し終わるのを待ってから話はじめること。相手の声をしっかりと聞くことが大切である。


【未来mikuのアウトプット】

① どんな風景ですか?

歩きながらスマートフォンで地図を確認する風景


② どのように変えたいですか?

歩きスマホをしている事によって、人にぶつかったり、怪我をしてしまう可能性がある。どんな理由であっても歩いているときにスマホを使うことは危険な為、マップアプリをみながら歩きスマホをする人を減らしたい。


③ どうしたらその変化を実現出来ると思いますか?

スマホの地図機能を完全に音声のみでナビゲートできるようにする。今ある音声案内では不十分なところも多く、実際地図画面を見たほうが早く分かることもある。音声案内の性能を改良することによって、読み上げられているナビゲーションを聞くだけで移動することができ、スマホを見なくて済むようになる。


【未来mikuの感想】

今回のセッションに参加して、「デジタル」はとても重要だと思いました。オードリーさんが開発したマスクマップアプリは、コロナ渦において有効性の高いものだと感じました。そして、デジタルは変化の激しい時代の中で、私たちを助けてくれるツールである事を痛感しました。オードリー・タンさん、ありがとうございました!


Inspire High

Inspire High(インスパイア・ハイ)は、アーティストやビジネスリーダー、

研究者など、第一線で活躍し、自分の人生を楽しむ様々な大人から、

自分の世界を広げるインスピレーションをもらう、オンラインサービス。

https://www.inspirehigh.com/ Inspire Highさんのnote


このセッションのアーカイブはYouTubeに残っています!↓


未来miku

bottom of page